建築にまつわるエトセトラ

蛙(かわず)の見る空

リブ建築設計事務所 主宰山本一晃のブログです。

10回目<無意識への招待>その4最終回

■H25年4月23日

10回目<無意識への招待>その4最終回
     *宇宙の構造と無意識

<宇宙の構造と人間の存在>
 この宇宙でなんで人間が存在し得ているの?地球上で生命が誕生し得たことは不思議のごく一部です。それ以前に、原子核を成り立たせるために陽子と中性子を結合している力、原子核の回りを回転し続けるための電子の質量と電気力、それらがたまたまバランスして原子は形成できている。さらにいうと重力がこれほど微妙に調節されていなければ地球は成り立っていない・・・
様々な物理定数はなぜこんなに人間の存在に都合よくできているのか?(これは科学における人間原理という議論です)
 これに対する一番科学的な答え(と私が思っているの)は、確率が1/∞に近いのは確かだろうが、それに乗じる「場合の数」も無限にあるという考えです。

<宇宙のランドスケープ
 少し前に「ヒッグス粒子」が発見されたか?と話題になったスイスのCERN(欧州原子核研究機構)でもうひとつ成果の期待されている実験があります。それは高エネルギー加速器による衝突実験により、「重力子」が直角方向に飛び去るのが観測されれば、現在最新の宇宙構成理論である「膜宇宙論」の証明につながるというもの。もしこの理論が正しければ、この宇宙における力の全てが統一的にで表現でき、さらに量子力学相対性理論も合体できるという壮大なものです。
 この理論によれば、宇宙は二枚の膜状に広がり、11の次元を持つらしい(!?)この宇宙(ユニバース)におけるビッグバンはこの二枚の膜がちょっとぶつかってエネルギーの準位が変わっただけとも考えられる。(なんのこっちゃ!)この宇宙と同様の宇宙はあぶくのように他にも発生しているかも知れない。(メガバースの考え方)従って宇宙が無限に存在しうる理論上の可能性(宇宙のランドスケープ)が想定できる。(このあたりはレオナルド.サスキンド著「宇宙のランドスケープ日経BPに詳しい)

<宇宙の構造と精神世界>
 宇宙に対するスケール感が少し狂ってきた所で逆にひっくり返すようなお話をひとつ。この宇宙の大きさは何百光年単位のスケールですが、相対性理論が正しいとすると、宇宙を飛ぶ光にとっては、一瞬で宇宙の果てに到達します。(以下橋元淳一郎著「時間はどこで生まれるのか」集英社より引用)「光子にとって、宇宙の大きさは0であり、流れる時間もまた0である。つまり、光子にとっては時間も空間も存在しない。光子にとっては無であるような世界の中に、われわれは広大な空間と悠久の時間を見ているのである。」こうなってくると想像を超えた何でもありの世界ですよね。
 ではその3で想定した精神世界はこの宇宙の構造とどう関係しているのだろう?
 SF的で面白い宇宙の考え方としては、ミクロの素粒子を観測する我々を宇宙の外から別の生命体が観測しているといった構造。外から観測しているのが別の生命体ではなく、実はそここそが我々の精神世界であるという考え方もある。(実際に臨死体験の証言のなかで同様の話がでてくる)または、宇宙の11次元のうち、折りたたまれて見えない次元の中にあるとか、ダークエネルギーの正体だという人もいるが、根拠は希薄な感じがします。
 実はこの答えはその1少しふれた、「脳を損傷した脳学者の体験記」の中に出てきます。(ジル.ボルト.テイラー著「奇跡の脳」新潮文庫)この体験は幻想ではなく、意識のある状態で脳のある部分の機能が失われた時の認識を記していますので、非常に確かな情報です。以下引用します。

「わたしたちは確かに、静かに振動する何十兆個という粒子なのです。わたしたちは、全てのものが動き続けて存在する、流れの世界のなかの、流体でいっぱいになった嚢(フクロ)として存在しています。(中略)目に見える世界の全てが、混ざり合っていました。そしてエネルギーを放つ全ての粒々(ピクセル)と共に、わたしたちの全てが群れをなしてひとつになり、流れています。」
 
この世界が印象派の点描画のように感じたそうです。

<終わりにー今のところはー>
 
その1から通して読んでいただけると、こうまとまるのがわかっていただけると思います。
 とどのつまり、この宇宙は
エネルギー(=質量)そのものです。それが粒子やエネルギーの状態であったり、まだ我々が理解できていない精神世界といった形式で存在しています。それらが我々の「脳」の情報処理により、この世界が実体感のあるものとして認識されているに過ぎないということです。そこでは「無意識」が一生懸命働いていますが、「自意識」はその上にちょこんと乗っかってるような存在です。「無意識」がやってくれることに方向付けだけすればよいのです。
 これって「色即是空」「空即是色」の概念そのものだと思います。いやーお釈迦様ってほんとーに偉いですね!(水野晴夫風)
 でも一番わからないのは、「生命」がなぜ誕生したかのところです。いろいろな説があるようですが、必然性があったのかなかったのか???ひとつ言えることは、人間も地球に寄生する生物の一種だということですね。こういう態度で謙虚に生きて行きましょう。

 私は今のところはこういうことやろなーという認識を持っていますが、このことでずいぶん気が楽になりました。ここまでついて来てくださった方もそう感じていただければうれしいです。

 (何度も言いますが、オカルトの話とはちゃうで!)