建築にまつわるエトセトラ

蛙(かわず)の見る空

リブ建築設計事務所 主宰山本一晃のブログです。

7回目<無意識への招待>その1

■H25年4月10日

7回目<無意識への招待>その1
    *決してオカルトの話ではありません

FACEBOOKを始めたのですが、そこに書き込んだ内容をここで解説したいと思います。

 まず:ほぼ確かな科学的事実

(トホホな話ではありますが)仕事が暇になってしまったのに乗じて面白いYOUTUBE動画を見つけました。→
「意識は幻想か?-「私」の謎を解く受動意識仮説 講師:前野隆司」
 
今この画面を見ているあなたは「自分で選択してこの文章を読んでると思っているでしょうが、実はあなたの中の「無意識」の判断を追認しているだけなのです。
という内容の仮説を実証的に説明しています。
 知覚反応実験の結果と、脳内の信号伝達のスピード(意外と遅い!)からして、そう考えるのが妥当だと言う説です。
 前野氏はロボットの人工知能研究の立場から「仮説」としていますが、良く調べると脳神経学者にとっては、ほぼ常識となっている話のようです。もう少し詳しく知りたかったので
「意識は傍観者である(デイビッドイーグルマン著)早川書房を読みました。それでは「意識」は何をしているのか?この本の表現を借りれば
「意識」は企業のCEOのようなもので、受け取った報告を記憶する(前野氏は「エピソード記憶」と呼んでいる)のが仕事。ただそれを基に将来のビジョンを立案する能力がある。
とのこと。「無意識」の中にある経験だけでは解決できない問題の答えを出すと言うことでしょう。

 多分ほとんどの方は「うそやろ」と思うでしょうが、私はこの手の話題には興味があり、下知識を持っていたので「そうかそうか」といろいろ腑に落ちました。というのは、この図式がいろんな話と符号するからです。

統合失調症の原因ー「ドーパミン仮説」]
 統合失調症の原因には諸説あり、実際には複合した原因で発症するようですが、一番しっくりくるのは「ドーパミン仮説」です。脳は知覚した情報を無意識に全て入力してしまうので、全てを処理しようとするとパンクしてしまう。そのため脳内ではドーパミンとかエンドルフィンといった「麻薬物質」によって制御していることが知られている。「麻薬物質」が不足すると何でも気になるのでいらないことにくよくよしたり、鬱病になってしまう。逆に過剰になると恐怖心が欠如し、殺人を犯しても平気でいられる。これが精神に異常をきたすという説。「無意識」は何でも知っていて、ほっとけば何でも実行してしまう怪物なのでしょう。脳はこれを微妙なバランスで飼いならしているのです。

[私たちホモサピエンスネアンデルタール人を凌駕した理由]
 ホモサピエンスが出現した時代に反映していたのはネアンデルタール人でしたがやがて形成は逆転し、現在に至ります。なぜそうなったか?ネアンデルタール人も知能は高く、石器で狩りの道具等を作っていて、その技術を子孫に伝える「社会学習能力」は有していた。ただホモサピエンスにはさらに「固体学習能力」があり、「自分」が創意工夫することにより例えば道具を改良していったから、と言われています。「自意識」を持った事が今日の結果をもたらしたのでしょう。「意識」のCEOとしての地位が確立したわけです。ただその下で実務を担っている「無意識」には進化の仮定で生き残ってきた膨大な経験が例えば「免疫システム」という形で蓄積され、活用されているのです。

次に:こういうことやろなあという想像

[「無意識」はどこまで知ってるの?]
 天才的な業績を上げた人が、アイデアが「自分の意志に寄らず、天から降りてきた」ように感じた、という話はたくさんあります。たとえばマクスウェルの「電磁気方程式」ポールマッカートニーの「レットイットビー」ゲーテの「若きウェルテルの悩み」等々。(詳しくはYOUTUBE「果てしなき宇宙・無意識と創造性1994」を見てください)こうなってくると「無意識」の能力はどこまで広大なのか?と考えてしまいます。
 例えば大怪我をして意識不明の状態で手術中の人が、天井から見ていたかの様に手術の様子を記憶しているという話があります。(オカルトの話ではない!立花隆はこのような事例に嘘や誤解が紛れ込む余地があったかを「臨死体験」という著書のなかで検証していますが、そのような証拠は見つけられませんでした。)
 養老猛司はこれを「人間には知覚によるのではない(おそらく自意識がなかった頃には使っていた)認識方法が備わっているが、普段は意識されていない」のだろうと説明しています。となると「無意識」はどういう形で存在するのか?とさらなる疑問が湧いてきます。
 養老猛司の話を続けると、「自意識」がくせもので、「自己」を意識するということは、自己と外界の区別をつけないといけない。では「自己」が無くなれば外界との関係はどうなるのか?自意識と肉体は脳の働きにより同一性を保っており、どの部分を損傷すればその機能を失うかはわかっています。ある脳学者がその部分を損傷する怪我をした際、自分の脳で何が起こったかを記録しました。それによると「意識が水のように世界に溶けだした」と表現したそうです。自分自身を見てしまうという「ドッペルゲンガー」現象も同じ原因によると考えられています。

 ここまで来ると「無意識」が我々の生命の成り立ちに深い関係があるのは確かなようです。さらに「心」(また定義しにくい言葉ですが)と「無意識」がどういう関係にあるのかを考えていくといろんな話に結びついて行きます。
 初めて「無意識」を意識した人にはこれ以上の話題は付いて来てもらえそうに無いのでまたの機会にいたします。(興味をもった人はゆっくり考えといてくださいね!)