建築にまつわるエトセトラ

蛙(かわず)の見る空

リブ建築設計事務所 主宰山本一晃のブログです。

3回目 母の家建替顛末記ーその1-

3回目

●Rib設計では4月1日より<期待の新入社員>の田村君を迎えました!!
これで私山本一晃、週の半分くらい来てもらっている<スーパー美少女アルバイター>の横須賀さん
Rib都市開発の成田氏の4人が事務所内のメンバーとなり、新体   
制がスタートしました。
順次彼らにもこの場で自己紹介をしてもらおうと思っています。

●(泉州地方の方へ)解体予定民家の木材を使って家を新築したい方を急募しています!!!)

前回もご紹介しましたように、現在私の母の家の建て替え設計を進めています。
設計図もほぼ出来上がり、見積が始まっています。予算が合えば着工の運びとなり、今の家の解体が迫ってきました。設計を始めた当初から、解体したらどこかで再生できないかと考え、いろんなところに話を持ちかけていましたが、今のところ未定です。何とかしたいと考えています。
今回は緊急に!!このお話をさせていただきます。

<今の母の家について> 20070509_img01_1
母の家(私の生家です)は岸和田市上白原町という山間集落にあります。
周辺はみかん山と竹やぶが多く見られる、農業が主産業の地域です。
(とはいえ、うちをはじめとして後継者不足で農業の将来が危惧さ
れる状況ですがこのことはあらためて話題にしたいと思います)
泉州地方ではよく見かけるのですが、この集落においても伝統的20070509_img02_1
な民家の形式は「錣(しころ)葺き」という屋根の葺き方をしています。
入母屋屋根に似ているのですが、なだらかな傾斜の寄棟屋根の上に急な傾斜の切妻屋根を乗せたような形をしています。(写真①参照)  この工法には長くて大きな丸太の桁梁が用いられます。(写真②参照)
祖母から聞いたことがあるのですが近くの山から何人もの人に手伝ってもらって木を切り出してきたのだそうです。
そういえば私が子供の頃は上棟の日には村中の人たちが手伝いに出かけ、男性は建前の作業をし、女性は炊き出しをしていました。今となっては古き良き時代の話です。

<既存木材の活用方法>20070509_img03_1
 前回もお話したように、今の家を残しながら建て替えをするのは
困難でした。今の家の木材を生かそうと思えば、別の方法として、新しい家の化粧材として活用する方法もあります。もちろんそれもするのですが、それでは使い切れませんし、9寸角ものケヤキ材の大黒柱(写真③参照)や、丸太を切り出した一本十数メートルに及ぶ牛梁(写真④参照)の力強さを活かすには、構造材をそのままどこかで組み直して新しい家として再生するのが一番だろうと考えました。そうしたほうが耐震性能を持たせることもしやすくなります。(ホームページ内の「TOPICS」に詳しい説明をしています。) 
 そのため昨年より、古民家を専門に扱っている専門業者に相談したり、古民家をそのまま店舗として使っているうどん屋さんに問い合わせたり、誰彼となく話を持ちかけたりし20070509_img04_1てきましたが、今のところヒットしていません。

 

 

 

<残す価値>
いろんな人に相談する過程でわかってきたこともあります。実は大黒柱がケヤキ材だというのも専門の方から教わりました。
その専門業者の方に最初相談したときに「その家はできて何年になりますか?」と聞かれました。六十数年だと答えると「それなら古民家といえるかどうかぎりぎりのところです」とおっしゃいました。
大断面の木材はそのくらいの期間をかけて乾燥が終わり、その後物性的に安定する時期を迎えるのだそうです。これからが働き盛りということ。
私の感想は「ムムム・・それはもったいない・・・・・・」

<木造住宅の寿命>20070509_img05
以前「木造でできた山荘を点検してあと何年もつか答えを出して欲しい。」という仕事をしたことがあります。その際木造住宅の寿命について調べたのですが、ある実験によれば防腐処理された杉材で土に接しない状態であれば70年程度、直接風雨にさらさなければその倍程度もつと予想されるという記事がありました。100年育った木は100年もち、200年育った木は200年もつという人もいます。要はメンテナンス次第です。実際この家でもシロアリの害を受けている材もあります。 20070509_img06_1
また機能的に今の生活に適合しない部分もあります。それを今回考えているように、構造材を移設し、補修・補強をすればあと100年はもたせられるだろうと考えられます。(そのあたりについてもホームページ内の「TOPICS」に詳しい説明をしています。) 

 

 

<お客さんを探しています>
そこで自前でお客さんを見つける努力をすることにしました。まずインターネットで呼びかけています。(この話もその一環です)地元でちらしを配ることも検討しています。広告費に金がかかればどうしてもお客さんにある程度負担がかかってしまうので早く見つかることを期待しています。
本当は解体前にお客さんが決まっていて設計もできていれば、解体と同時に新しい敷地で組み立てができて一番合理的と思われるのですが、このプロジェクトの難しいのは、解体してみないとメドがつかない点が多いという点です。例えば、解体しなければどの程度いたんだ材があるのかわかりませんし、(ということはコストの把握ができないと言うことです)そもそも裸にしないと正確な測量がしづらく、ということは正確な図面が描けないということもあります。
その結果、一時どこかに仮置する必要がでてきます。そのための場所や、運搬費についても考えないといけません。
コストについては「再生する木材の材料費はタダ」とするのがわかりやすいと考えています。設計や施工については通常より手間がかかり、その分は高くつきますから、お客さんにとっては「通常と同じ建築費(設計料も含みますが)で骨太の木材がつかえる」というところにもって行きたいと考えています。

 

● 今回は真剣勝負のお話なので「遊びのない」文章になってしまいました。さてどういう結末になることやら。新築の家のほうの見積金額についても気になり、「夜も寝られません」と言いたいところですが、ここのところ小説を1ページくらい読めば目が閉じてしまい、気づけば朝という毎日です。

● メンバーと芸能関係の話をいたしまして最近やっと長澤まさみさんをTVで区別できるようになったのですが沢尻エリカさんと上野樹里さんを認識できません。この原稿を書いたらネットで画像を検索してみようーっと!