楽しい農場<Fan-Fan-Farm>その①
ー栄養のある野菜をつくりたいー
<畑を作っています>
今、1300㎡ほどの畑を作っています。現在は畝(うね)の形ができた段階で、これから栽培を始めます。ここまで紆余曲折があったのですが、経緯についてはFace Bookで一般公開しているので良ければ参照ください。(「山本一晃」で検索)
私の本業は建築設計ですが、この実家の農地を活用して野菜を提供する事業を始めようと思っています。これから始める一連のブログは、そのコンセプトをまとめたものです。
農業に関しては、このブログで2013年6月13日(15回目)から7月10日(18回目)まで「山本農園便り」として一度文章にまとめました。それから約10年。片手間に農業をかじりながら試行錯誤する中で考え直す必要がある事にもいろいろ気づきました。事業として始めるに当たり、改めて方針をまとめ直そうと思います。
<野菜の栄養は激減している>
当時から変わらない問題意識は、私が生まれた頃(1960年代)と今を比べて「野菜の栄養は激減している」という事実です。「17回目山本農園便りその③」に詳しく書いています。今の時点で手に入った最新情報は以下の感じです。
こうなる原因については、いろいろな説があります。上記の表は文科省の食品標準成分表を基に各々の方が比較してまとめていただいたものですが、50年前と今では分析方法の違いがあるので単純な数値比較はできないというのが前提です。それにしても少なくなっているのは確かですね。
上の方の表が掲載されているAgriweBというサイトは、その原因を地力低下にあるのではという趣旨で。有機農業を推進しているようです。
「有機農業」と表現が似ていますが意味合いは異なる方法に「自然農」というのがありまして、私は後者の方法をとろうとしています。おいおい詳しく説明しますが「自然農」の考え方を理解すれば、なぜ今の野菜の栄養が激減しているかはだいたい想像がつきます。
<自分が育とうとする力を発揮させて育てる>
そもそも野菜が自分に栄養を体に蓄えるのは、人間に食べさせるためではなく、自分の成長に必要だからですよね。
わかりやすい例をあげます。エンドウ豆は秋に植え付けて、冬越しをしながら養分を蓄え、春に実をつけます。冬越しの間は自分で空気中の窒素を栄養にできるので、肥料はやらない方がよいそうです。他にもキャベツやダイコンも冬越しをすれば甘味が増します。寒さを乗り切るために糖分を蓄えるからです。体液の濃度を高めることによって自分が凍らないようにする意味もあります。
けれども外から食べ物(肥料)をたらふく与えられ、虫などの外敵を農薬で退治してもらえば、体の中に自分にとっての栄養を蓄える必要はなく、どんどん育ちます。そういう環境を人為的に整えて効率的に栽培を行うのが今の慣行農業だということです。これによって安定的な生産が可能となり、農業が産業として成立します。その代償として「栄養を手放した」と言えそうです。
<自然農のやり方>
自然農では、基本的に土は耕さず、雑草や虫や細菌の地中活動によって土を作ってもらいます。自然にまかせるわけです。作物があくまで自分の力で育つことを優先しますので、雑草は作物が負けそうにならない程度にしか刈りません。肥料は基本的には人間が作物を収穫することによって、畑から足りなくなる分を補います。やりすぎないことが肝心です。農薬も基本的には不使用です。雑草と競合しながら虫に対する抵抗力のある体をつくってもらいます。とはいえこれはなかなか簡単なことではないし、虫への抵抗力を身に着けても鳥には食べられます。従ってほったらかしで育つわけではなく、助けは必要です。
この10年、いろいろやってみましたが、その年の気候にすべてが左右されるので収穫時期もバラバラだし、収穫量も不安定であることを実感しています。(もちろん私の技量の未熟さも大きいですが)
自然農の大家である川口由一氏は「人の70%できたら良しとしなさい。『足るを知る』ことが大事です。」とおっしゃいます。
それは本質をついているお話ではありますが、さてそれではこの地で趣味の範疇を超えたことをしようとするとどういうやり方があるのでしょうか?という事を十年間考えてきたわけです。(つづく)